未来を待つのではなく、引き寄せるための『NAGURIKOMI』

 2008年3月1日。ギッシリと人、人、人で埋め尽くされた東京・中野サンプラザホール。その場に居合わせた人たちすべてが感じていたのは「ロックが大好きだ!」という、昔からわかりきっていたはずの熱い思いじゃないだろうか。言うまでもなくそれは、この瞬間の目撃者となるために駆けつけたオーディエンスのみならず、ステージ上に登場した愛すべき稀有な表現者たちにとっても同じことである。
 ものすごく事務的で客観的な言い方をすると、『JAPAN HEAVY METAL FANTASY〜KANSAI NAGURIKOMI GIG 2008』は大盛況のうちに終了した。が、重要なのは、当日券が底をついて広い会場が満員になったことでも、各出演バンドが“健在ぶり”以上のものを伝えてくれたことでもなく、確実にこの夜を起点としながら何かが始まったという手応えを得られたことだろう。
 MARINO、EARTHSHAKER、そして44MAGNUM。この夜、初めて三者で同じステージを共有することになった各バンドの現状は、それぞれに大きく異なっている。EARTHSHAKERが近年もコンスタントにライヴ活動を続けている事実についてはいまさら説明する必要もないだろうし、ここを新たな出発点にしようと考えたMARINO、過去にない形態での登場となった44MAGNUMと彼らとを同じモノサシでとらえようとすることには無理があるともいえる。が、そこですべてのバンドに共通していたのが“熱意”だったと言ったなら、あまりにも根性論めいた綺麗ごとのような話に感じられてしまうだろうか? しかし少なくとも僕には、そう感じられたのである。
 各バンドがいかなるステージを披露したかについては、すでにあちこちのブログやBBSなどでも語られているはずだし、これから各音楽専門誌などでも報じられることになるはずだから、ここでは敢えてセット・リストのみの掲載にとどめておくことにする。あの夜、あの場所に居合わせることのできた幸運な人たちは、これを見ながら記憶を再確認して欲しいところだし、無念の涙を飲んだ人たちには“次”の機会到来を信じながら、いや、むしろあなた自身がその機会を呼び起こす立場にあるのだという意識を持ちながら、想像力を働かせてみて欲しい。
 終演後、MARCYは「すごく楽しかった!」と言い、SHARAも「純粋に楽しかったし、自分らだけじゃなく、お客さんの側もそうだったんじゃないかと思う」と語った。そしてMARCYはさらに、「自分たちの責任として、こういう機会をこれ1回きりで終わらせてしまってはいけないと思う」と付け加えていた。
 LEOは「ものすごく気持ち良かった。元気な中年の“希望の星”としてこれからも頑張ろうと思う。もう“無責任バンド”は終わり!」と何かが吹っ切れたようなすがすがしい笑顔を見せてくれた。そして、すべてが終わったあと、44MAGNUMの楽屋を訪ねると、メンバーたちは次のようなコメントを寄せてくれた。
 「今後こういうイベントを、若手とも混ざりながらどんどん続けていきたい。それをやっていくためにも我々はまだまだ頑張らなくちゃいけない。今夜はいろんな世代のいろんな立場の人たちが観に来てくれて、いろんなことを感じ、考えてくれたはず。こういう機会を重ねていけば、ロックはまだまだ死なないと思う。ありがとうございました。シアワセです!」(PAUL)
 「正直、ずっと継続してやってきたバンドじゃないだけに、ステージに出てみるまでは不安もあったけど、いざ始まってみたら何の問題もなかった。客席の年齢層が上がってるのはステージからもわかったけど、俺たちの年齢も上がってるんだからね(笑)。とにかく楽しかった! なにしろ20年ぶりくらいにやる曲もあったしね」(JOE)
 「ものすごく気持ち良かった。横を見ても後ろを見ても懐かしいはずの光景なのに、それが“普通”に感じられて、まったく違和感がなくて。不思議なもんだなあと思いました。途中、何度か泣きそうになりましたけど……必死でこらえました(笑)」(BAN)
 「もっとセンチな気持ちになって感動するのかなと思ってましたけど、正直、いざ始まってみたらそれどころじゃなかった。でも、良かったと思う。まだまだやるべきことがあるってことだと思うし、その場のことだけで100%になれたということだから。もしかしたら、これから改めていろんな思いが湧いてくることになるのかもしれない」(JIMMY)
 「緊張しましたけど、結果的には自分自身も楽しみながらできたと思います。あんなにたくさんの人数の前で歌うのは初めてだったんですけど、お客さんのパワーをすごく感じました。応援、ありがとうございます!」(STEVIE)
 2008年3月1日。それは単純に“忘れられない日”ではなく、“忘れてはいけない日”でもあるのだろう。同時に、僕らが次にすべきことは、この日の記憶がかすんでしまうくらいにものすごい風景を作りあげ、それを共有すること。その瞬間の到来を“待つ”のではなく、“引き寄せる”ということ。それがきっと未来のカタチを変えることになるはずなのである。

増田勇一

【MARINO】
Midnight Believer
Break
約束の丘
Brave As A Lion
Shake Down
Target
Faraway
From All Of Us
Impact

【EARTHSHAKER】
EARTHSHAKER
WALL
COME ON
愛の技
欠片
GARAGE
FUGITIVE
MORE
RADIO MAGIC

【44MAGNUM】
YOUR HEART
THE WILD BEAST
NO STANDING STILL
I’M ON FIRE
IT’S TOO BAD
NIGHTMARE
YOU LOVE ME DON’T YOU?
She’s So Crazy. Make Me Crazy
STREET ROCK’N ROLLER
I JUST CAN’T TAKE ANYMORE
LOCK OUT
TOO LATE TO HIDE 

《encore》
SATISFACTION(session)

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